妊産婦のうつ

 妊婦のうつ病は、胎児の発育不全の危険性が高めるほか、パニック障害や不安障害など神経症性障害では、早産や流産のリスクが大きくなります。妊婦や産後の女性の自殺、乳幼児の虐待にもつながります。厚生労働省は、出産時のリスクが高い妊婦などを受け入れる総合周産期母子医療センターで、精神疾患を抱えた妊産婦への対応を強化することにしています。総合周産期母子医療センターは、切迫早産や超低出生体重児への対応や、脳血管障害や心疾患を持つ妊婦の治療にあたる周産期医療の基幹病院です。
 厚生労働省は、帝王切開などを手がける地域周産期母子医療センターを含む計390施設に対して調査を実施しました。その結果、精神疾患がある妊産婦に対応できるのは、137施設(35.1%)にとどまっています。脳血管障害260施設(66.7%)、急性心疾患270施設(69.2%)、妊娠中の事故などによる外傷284施設(72.8%)であり、他の病気に比べて低率でした。心のケアが必要な患者への対応が遅れています。このため、総合周産期母子医療センターの要件として妊産婦の精神疾患への対応を明記することにしています。センター側は、精神科の経験がある複数の医師を配置することが必要になります。

(2016年11月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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