新しい全国がん登録

 がん患者の個人情報や治療歴をデ-タベ-ス化して、一元管理する全国がん登録が来年1月に始まります。新制度では、全国に9千近くあるすべての病院に対してデ-タの届出が義務化されます。都道府県に指定された、がん治療をしている診療所も対象となります。都道府県ごとにオンライン入力された情報は、国立がんセンタ-が一元管理します。匿名から実名になるので県外への転院などによる重複する患者の把握も可能となり、市町村から死亡情報も提供されるため、生存の確認や届け出漏れもわかるようになります。
 年間に数例しか発生しない希少がんや小児がんも含め、倫理上100%患者が把握できるようになります。また、罹患数や生存率が正確に把握できるようになり、都道府県の地域差も明らかになります。新制度のもとで患者の負担が増えたり、新たな手続きが必要になったりすることはありません。逆に、医療機関が患者に同意を取る必要はなく、患者が届け出の拒否や削除を求めることもできません。記録は長期間保存され、100年後に匿名化されます。都道府県や国立がん研究センタ-で、徹底した情報管理が求められることになります。

(2015年12月16日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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