新型出生前遺伝学的検査の結果

 高齢出産が増え、妊婦の血液から胎児の染色体異常を調べる新型出生前遺伝学的検査(NIPT)への関心が高まってきています。高齢になると胎児にダウン症、18トリソミー、13トリソミーなどの染色体異常の確立が高くなってくるためです。NIPTは日本では20134月に臨床研究として開始されました。日本医学会が認定した全国70施設で約3万人が検査を受けています。検査で陽性と判定された場合、羊水検査などで確定診断を受け、異常があった場合は、ほとんどのカップルが人工妊娠中絶を選択されています。診断やダウン症への理解が不十分なまま検査だけが広まると、命の選別につながりかねないと懸念する声もあります。検査を受ける前に、ダウン症児を育てるのにどんな支援があるかなどを知る事も大切です。医療や教育、就労など幅広い情報が検査を受けるクライエントに届けることが必要になります。
 現在の日本においては、障害をもつ子どもは、病気、障害、差別などに苦しむ社会的弱者なのかもしれません。こうしたマイリティ-の声に耳を傾け、そして彼らの権利を守り、彼らが安心して暮らせるような社会を築くことにより、“障害のある”といった、障害を人の多様性として捉えることができるようになります。そして、個性と考えられるようになります。個性は、性のみならず、障害のある、なしを超えます。健常者は、障害のある人から多くのことを学びます。障害のある人の成長に励まされ、彼らの優しさに触れ、暖かさに気付かされ、人を幸せにする力により癒されていく自分に気付くと思います。障害のある人が安心して生きられる社会は、だれもが生きやすい社会なのです。

(吉村 やすのり)

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