東日本大震災後の小児の心と体の発達―Ⅱ

メンタルヘルス

 心の問題を抱えているお子さんに、どんな要因があるとその程度は強くなるのかということを質問しています。遠い親戚や友人が亡くなってしまった、あるいは津波で流されてしまった人を見た、あるいは火災を目撃したが、三大要因になっています。もう一つ違った要因に、震災の前に怖い体験をしているかどうかということがあります。具体的には、身近な人がとても重い病気になったり、あるいは亡くなってしまった、それから両親と離れて暮らしている、こういうような体験があった方は、体験がない方に比べて非常に問題行動を起こしやすいということが分かりました。つまり、震災だけではなく、震災の前にあった体験が非常に重要であることを示しています。
 対象県の三重県の調査と比較すると、三重県の場合は、トラウマ体験があってもなくても、現在の問題行動というのはそれほど違いがありません。ところが、過去にトラウマ体験があって、しかも被災されたというダブルパンチになってしまったお子さんでは、非常に問題を起こしやすいということも分かっています。もう一つクローズアップされたのは、親の精神を疾患です。被災県では親がうつ病になる家族も増えています。親がうつ病になっている元で育てられている場合には、明らかに問題の行動が多くなることも分かりました。

 

(2016年5月1日 家族と健康)
(吉村 やすのり)

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