生活習慣病と思春期

 思春期になると、行動のほとんどが自分の意志によるものになり、親の介入が難しくなることより、就寝時間や食生活などの生活習慣の乱れや運動不足が相まって肥満が完成し、それ以降の成人肥満につながっていく。思春期肥満は、たとえ成人期に肥満を解消しても虚血性心臓病の罹患率や死亡率が高く、しかも肥満の程度が強い人ほどその傾向が高いことが認められるようになっている。小児期や思春期よりすでに冠動脈や大動脈の動脈硬化が進行しているとの報告もみられる。

 メタボリックシンドロームは、内臓脂肪蓄積型肥満に糖代謝異常、脂質代謝異常、高血圧のうち2つを合併したものであり、動脈硬化の発症率が増加することが知られている。このメタボリックシンドロームは成人のみではなく、小児期に発症することが知られている病気であり、早期診断が極めて大切になる。また、男児では女児に比べて内臓脂肪が増加する傾向があり、注意を要する。そのため、わが国においても高校生を対象とした生活習慣病の診断基準が設けられており(表1)、成人に比べて中性脂肪値および空腹時血糖値が低く、HDLが高値になっている。4)小児・思春期より規則正しい日常生活を身に付けることが大切であり、家族ぐるみの早期介入が必要であり、今後思春期の生活習慣病が予防されることが期待される。

(吉村やすのり)

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