男性不妊症の治療

 不妊というと女性に原因があると思われがちですが、男性が関係する場合も半数近くに上ります。男性不妊には、精液中の精子が少ない乏精子症や精子の運動率が低い精子無力症、勃起障害(ED)など色々あります。男性不妊の原因の一つである無精子症に対して、精巣を切り開いて精子を採取する手術が実施されています。対象となるのは、精巣で十分に精子が造れない非閉塞性無精子症の患者です。精巣を切り開いて、顕微鏡を使って精子を含んでいると思われる精細管を見つけ出し、一部を採取し、その中から精子を探すマイクロTESE(テセ)という手術が行われています。
 マイクロTESEは日帰り手術であり、約1時間で終わります。精子はいったん凍結しておいて、妻との卵子の間で顕微授精を行うことになります。しかしマイクロTESEによっても精子が見つからない場合も多く、無精子症の患者のすべてに対応することはできません。男性不妊の治療費を女性する自治体も増えてきています。マイクロTESEに公的医療保険の適用はなく、自己負担で30万~50万ほどかかります。三重県では昨年度、全国に先駆けて男性不妊の助成制度を新設しています。東京都も今年4月から上限15万円を助成するなど、計約20都道府県が同様の制度を設けています。 

(2015年5月19日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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