社会的な卵子凍結

昨年11月、日本生殖医学会は、健康な女性が将来の妊娠・出産に備えて卵子を凍結するためのガイドラインを作製した。ただし、40歳以上の卵子の採取と凍結保存した卵子を使っての45歳以上の妊娠は推奨できないとした。出産や子育てをする体力を考えると、できれば35歳までの自然妊娠が望ましく、卵子の凍結保存は選択時の一つであると考えるべきである。パートナーがいない、キャリア形成を望む女性が、将来の自分の妊娠のために卵子凍結を利用することが多い。

排卵誘発剤で卵巣を刺激し、卵子を採取し凍結保存する。妊娠をする際には、解凍し、体外受精にて受精卵をつくり子宮に移植し、妊娠出産を目指すことになる。しかしこの未受精卵の凍結による体外受精の成績は低く、すべて良好な胚が得られるとは限らない。そのため妊娠するためには10個以上の卵子を凍結保存しておくことが望ましい。卵子を凍結しておけば、将来必ず妊娠することができるとは考えない方が良い。一般に費用は70~80万円前後であることが多く、卵子1個につき1万円の保存料が毎年必要となる。

(2014年7月31日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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