美容医療に対応するクレーム

 美容外科の診療に対する苦情やクレームが増えています。美容整形や脱毛、脂肪吸引などの美容医療の分野では、医療機関がクリニックのHPで施術の効果や安全性を誇張したり、実際より低額の料金を表示したりして、治療を受けた患者が被害を訴えるケースが急増しています。こうした実態を考慮し、厚生労働省は医療機関のHPを広告規制の対象とする検討を始めます。
 医療法では、医療機関がチラシなど広告を行う場合、記載できるのは診療科名や手術内容などに限定されます。虚偽の広告に対しては、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金も科せられます。ただ同法を所轄する厚生労働省は、これまでHPについては、一般に広く認知される広告ではなく情報提供にあたるとしていました。しかしHPによる宣伝が一般的になったことから、同省は、専門家らによる検討会を設け、同法改正や解釈変更の検討を始めました。日本美容外科学会には専門医が80名前後在籍していますが、専門医でなくても美容外科を標榜することができます。美容外科の十分な研修を受けることなく、マスメディアで美容外科を堂々と名のる医師が多くみられます。日本美容外科学会の自律性に期待したいところです。

(2016年3月3日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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