臓器移植の減少

 近年、臓器移植の件数が極端に減少しています。厚生労働省の集計によると、2014年は計77件で4年連続の減少です。脳死と判定した人からの臓器移植は横ばいですが、心臓停止した人からの移植が大幅に減っています。厚生省は脳死移植の数を増やしたいと考えをもっており、医療機関の負担軽減を検討しています。2010年には、本人の意思が不明でも家族の承諾があれば、脳死での臓器提供を認める改正法が施行され、最近は年50件程度が実施されています。
 一方、脳死移植以前から認められていた心停止した人からの移植は、2010年を境に100件前後から大きく減り、昨年では27件にとどまっています。判定から移植手術までスケジュ-ルを組んで進む脳死と異なり、心停止による臓器移植は、見通しを立てるのが難しい状況にあります。長時間医師に待機してもらったり、手術室の確保が難しかったりするなど医療機関の負担も重くなります。また、心臓や肺などの多くの臓器を提供できる脳死に比べ、心停止の場合は腎臓や膵臓などに限られます。

(2015年4月23日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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