葉酸摂取の必要性

 葉酸は、ホウレン草など緑黄色野菜に多く含まれるビタミンの一種です。不足すると、胎児の脳や背骨の神経の病気を招く恐れがあります。また成人になって動脈硬化や生活習慣病にも関連することがわかってきています。海外の大規模調査で、妊娠を希望する女性が、妊娠前から葉酸をサプリメントで接種すると、子どもが二分脊椎など脳や背骨の神経の病気になるリスクを大きく減らせることが分かっています。厚生労働省は、2000年都道府県などに、妊娠1カ月以上前から妊娠3カ月までに、葉酸を1400㎍接種することを推奨する通知を出しています。食材に含まれる葉酸に比べ、加工食品やサプリメントに添加される葉酸は、体内で利用されやすいことがわかっています。
 現在、84か国が1種類以上の穀類へ葉酸の添加を行っており、二分脊椎などの葉酸不足が原因となる胎児の病気が減っているとされています。一方、国内では、厚労省の通達以降も二分脊椎の子どもは減らず、年間500600人が生まれています。大人でも葉酸が不足すると、血液中のホモシステインというアミノ酸が増えて、動脈硬化を招き、脳卒中や心臓病、認知症になりやすくなります。葉酸の添加は、妊娠を考える女性だけでなく、すべての国民の健康に役立ちます。

(2015年11月29日 讀賣新聞)
(吉村 やすのり)

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