高齢者優遇措置の継続

 2015年度予算では社会保障費は31兆円台半ばとなり、過去最高になっています。2015年度予算総額は96.3兆円で過去最高となりますが、これは社会保障費の増大によります。高齢化によって4人に1人が65歳以上になり、年金、医療、介護費は毎年のように増えています。高齢者向けの優遇措置を温存していることも費用膨張が止まらない大きな要因です。税金で賄っている社会保障費は31兆円だが、保険料や利用者の自己負担も入れた社会保障給付費は115兆円にも達しています。

 ここまで高齢者の優遇が続くには選挙が大きく関与しています。今年の4月の統一地方選などを控え、高齢者の負担を引き上げたくない与党の意向が働き、15年度は切り込み不足に終わった感があります。このままいくと段階世代が75歳以上になる10年後の2025年度には、給付費が150兆円近くまで膨らむ見込みです。伸びが著しいのは介護費で、2014年度は10兆円となり、2000年度の制度発足時に比べ、3倍にもなっています。社会保障財政の問題は、給付が高齢者に偏っており、現役世代の負担とのバランスが取れていないことにあります。高齢者に対する負担増は、高齢者の切り捨てではなく、国家存続のために必要であることを、高齢者に理解を求めることが大切です。

(2015年1月14日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。