高齢者給付の在り方

医療改革の先送りが目立っています。最大の課題は高齢化で膨らむ医療費の抑制ですが、各政党とも高齢者の給付や負担の見直しに及び腰で、今の選挙戦でも争点になっていないのは残念なことです。半面、現役・将来世代の負担は高まる一方で、消費税を先送りしても、現役世代のお金が消費に回らなければ景気の回復も望めません。
医療以外でも高齢者向けの給付は、維持される傾向にあります。年金では、厚生労働省の試算によると、2014年度に65歳になる人が現役収入の6割強の支給を受けるのに対し、35歳になる人は65歳になった時に現役収入比の5割強しかもらえず、世代間格差は明らかです。高齢者の給付が温存される背景には、投票率が高く、人数が若年世代よりも多い人口構成がその要因と思われます。年金、医療、介護制度の持続性を高めるために避けて通ることができない給付抑制などについては、具体策を示さない政党が多いのは残念なことです。

(2014年12月10日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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