2016年度の税制改正の論点

 政府・与党は、2016年度税制改正の議論に着手しています。主に専業主婦の世帯を優遇する配偶者控除の見直しなどで所得税の抜本改革を目指しています。結婚し子どもを育てようとする若い世代の低所得者の負担を軽減し、高所得の高齢者の負担を増やす方向で検討する予定です。所得税改革の目的は、働く意欲を損なわないで、結婚や子育てを後押しすることにあります。成長の担い手である若い世代を重視し、経済成長の基盤を強めることを目的としています。
 主にサラリ-マンと専業主婦の妻などの世帯の税負担を軽くする配偶者控除は、女性が年収103万円以下に働き方を抑えることにつながると指摘されてきました。政府はこの配偶者控除を廃止し、共働きを含む全ての夫婦世帯を対象にした控除を設ける新制度などを検討することにしています。さらに、子どもを産み育てようとしている低所得の世帯を対象に負担を軽減しようとしています。高所得の高齢者には応分の負担を求めることになります。年金受給者に適用される公的年金等控除は、給与所得者の給与所得控除より手厚く税負担が軽くなっています。世代間の公平性の観点から、高所得者には控除を縮小することを検討する予定です。

(2015年4月24日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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