子どものくる病

 くる病は、栄養が慢性的に不足していた19生期~20世紀初頭にはありふれた病気でした。しかし最近になり、O脚や背中が曲がるなど、子どもの骨の発育不良を起こす、くる病が増えています。これまで、ビタミンDの不足で発症し、栄養状態が悪かった過去の病気とされてきましたが、再燃してきています。日光を過度に避けることが原因と考えられています。日本小児内分泌学会は、2013年にくる病を正確に診断するための小児科医向けの手引きを作製しました。O脚やX脚といった外見上の診断のほか、X線撮影や血液検査で確定診断する基準を定めています。
治療は、体内で働きやすい活性型ビタミンDの服用が基本となります。多くの場合、数カ月から1年保程度で骨の形成が戻ります。体内でのビタミンDの合成は、紫外線が皮膚にあたることで進みます。しかし、紫外線が皮膚がんにつながることへの不安が高まり、子どもの外出を控えたり、日焼け止めを常に塗ったりして、過度に紫外線を避ける習慣が広がりました。紫外線の浴び過ぎはよくありませんが、完全に遮断してしまうとビタミンDが不足しがちになります。適度な日光浴に加え、ビタミンDを多く含んだ食品を積極的に取り入れることも効果的です。

(2015年7月14日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

 

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