母子手帳の意義

 母子健康手帳は、戦後の混乱期に生まれました。母子健康手帳は、妊娠中から誕生後までの母子の検診結果や子どものワクチン接種などの記録が記載されています。市町村に妊娠を届けると渡され、妊娠や育児に関する情報も載っています。母親が子どもの成長の様子や気持ちを記録する欄もあり、それぞれの家庭で保管します。原型は、戦時中の1942年に作られた妊産婦手帳です。1948年に、出産後の乳幼児期の記録も含めた母子健康手帳になりました。
 東日本大震災以降、国内では母子健康手帳の電子化への注目も高まっています。岩手県では、記録を電子化して自治体と医療機関が情報共有する仕組みがあったため、津波などで母子健康手帳を紛失した妊婦に再発行ができました。日本産婦人科医会は、2013年から電子母子健康手帳標準化委員会で、記録方法や運用の課題を整理しています。時代は変わっても、母子の健康を守り、親子の絆を深める役割は変わりません。今や日本の母子健康手帳が、海外にも普及されています。現在、母子健康手帳は世界30か国以上で活用されています。

(2015年7月19日 讀賣新聞)
(吉村 やすのり)

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