第2子の壁

 9年ぶりの出生率低下が注目を集めています。出生順位別に見ると、第2子の出生が前年より14703人減っており、出生数の減少分の56%を占めています。第2子の産み控えが、出生数減少に大きな影響を及ぼしていることが明らかです。保活で苦労して、本当は2人欲しいけれど1人であきらめよう、と考える働く母親は実に多くみられます。働く親が第2子を持つことに不安を抱かせるような現状は、第2子出産の壁を厚く高くしています。
 「下の子を産んで仕事を休んでいるのだから、上の子には保育園を退園してもらいます。」埼玉県所沢市が、4月こんな育休退園ル-ルを導入したのをきっかけに、働く親に第2子出産への不安が広がっています。子どもの預け先の確保が難しいとなれば、第2子の出産を先送りにしたり、見送ったりしかねない現状に陥ります。働く母親が増える中、産み控えが広がればさらに少子化が進むことになります。育休中は家庭での保育が可能であるとして、原則として保育が必要な状態には該当しないとみなして、育休退園を一律に導入する自治体があります。今働いている親の子どもが保育園に入れないのに、仕事を休んでいる育休中の親の子どもが通うのは不公平だとの意見によります。一方で、親が育休中も上の子を保育園に通わせたいと願うのは、一度退園すると入園枠が少ない中で上の子の再入園が難しく、仕事復帰のめどが立たなくなるからです。

(2015年7月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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