心の病

 うつ病など心の病を発病し、労働災害(労災)と認められる人が増えています。厚生労働省の調査では、2014年度は前年度より61人多い497人で、統計が残る1983年以降で最も多くなっています。そのうち自殺や自殺未遂をした人は99人で、こちらも過去最多でした。この大きな背景として、患者の増加があります。うつ病やその他の心の病気で通院する15歳以上の人は、2013年は推計で約212万であり、2007年の約165万人から3割程増えています。また、精神障害で労災が認められるということが認知されるようになり、請求する人が増えていることも要因と考えられています。
 心理的な負担がかかった最大の原因をみると、労災事故を含む悲惨な事故や災害の体験・目撃が一番多くみられます。生死にかかわる業務上のケガや、発病直前に月160時間超の残業をするなどの特別な出来事や、月80時間以上の残業も目立っています。残業が過労死の危険ラインとされる月80時間以上の人は、心の病で労災認定された人のうち約4割を占めています。昨秋に過労死等防止対策推進法が施行されましたが、原因を調査研究するのが主体であり、肝心の長時間労働を減らすための具体策が乏しいのが現状です。

(2015年7月29日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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