女性活躍推進―Ⅱ

早い選択と遅い選択

 女性管理職の育成を妨げる一つの大きな要因が妊娠・出産です。育児と仕事を両立できるかどうかは、女性にとって重大関心事です。女性管理職の選択が早い企業では、当然のことながら、女性管理職の割合は高くなります。しかしこのことから、ただちに女性管理職を増やすために、昇進を早くすべきだという結論にはなりません。早い選択では、出産後も正社員として働き続ける割合は、遅い選択より低くなってしまいます。女性が早く管理職になると育児と仕事の両立が出来ず、離職してしまうケ-スが増えてしまいます。
一方、遅い選択は有能な管理職の見極めと育成にあたり、多くの管理職候補から絞り込むことで、より適切な人材を選定できるという長所があります。また、遅い選択企業ほどワ-クライフバランス施策に熱心であり、出産しても辞めない女性が多いとされています。育成期間中に辞められては困るので、昇進慣行は基本的に変えないまま、ワ-クライフバランス施策を充実させるほうが現実的で効果があるとの判断をしています。

(2015年8月10日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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