環境によるヒトへの影響―Ⅲ

Barker仮設

 Barkerらは、1986年に低出生体重児で生まれた子どもが成人に達した後、メタボリックシンドロ-ムや、心血管系疾患、脳卒中、2型糖尿病をはじめとする生活習慣病になるリスクが高いことを報告しました。これらの報告を基に、子宮内環境の悪化によって、胎児が生存のための適応を目的として、さまざまな器官や細胞の機能や構造を変化(プログラミング)させた結果により、低出生体重児となるとの説を提唱しました。このプログラミングは、胎児期には生存のたまに有利に働きますが、出生後はかえってメタボリックシンドロ-ムや生活習慣病のリスクとなりうるという考え方です。これを胎児プログラミング仮説、Barker伝説と呼びます。

(吉村 やすのり)

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