企業ふるさと納税の開始

 日本は欧米に比べて寄付の分化が根付いていないとされており、これまで税制優遇も少ない状況にありました。ただ、近年は優遇が拡大する傾向にあります。2011年度の税制改正で、一定の基準を満たしたNPOへの寄付の一部を所得税などから差し引く税額控除が新設されています。寄付税制のなかで最も優遇が手厚いのは、自治体に対する個人の寄付です。もともと寄付額の一部は減税されていましたが、2008年度からはふるさと納税と銘打たれ、優遇が格段に大きくなっています。
 現行の寄付税制では、企業が都道府県や市町村に寄付すると、全額が課税所得から控除され、法人税や法人住民税などの負担が軽くなります。所得にかかる法人実効税率が約3割のため、例えば100万円を寄付すると、税金が約30万円減ることになります。企業の実質的な負担は約70万円で済む計算になり、寄付を受けた自治体は、比較的自由に使途を決めることができました。今回の企業版ふるさと納税ではさらに、税優遇を拡充し、寄付の約6割に当たる額の税負担が減ることになります。例えば100万円を寄付した場合、税金の支払いが現行制度よりも合計約30万円減ることになります。寄付をする企業の負担は、約40万円に抑えられることになります。

(2015年9月22日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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