予防接種に関する特集―Ⅱ

意義

 予防接種の目的は、感染症にかからなくする、あるいは重症になることを防ぐことで、健康を守ることです。かからなくなれば、他人に移すこともありません。それにより、集団生活の場での感染症の流行が起きる危険性を大いに減らすことができます。重症化を予防できれば、学校や保育所・幼稚園を長期間お休みしたり、入院あるいは死亡することが防げます。もちろん、保育所・幼稚園や学校などの子どもたちの集団ばかりではなく、大人の社会についても同様のことがいえます。
 また、たとえば免疫をもたない妊娠早期の女性が風疹ウイルスに感染すると、胎児にも感染が広がり先天性風疹症候群を発症することが知られていますが、妊娠する前に風疹ワクチンを接種しておくことによって、次の世代の健康を守ることができます。さらに、何か病気があったり免疫疾患などで予防接種を受けられない人もいますが、このような人たちも、周りの多くの人が予防接種を受けることによって流行が阻止される結果、守られることになります。個人を守り、それによって集団での流行を防ぎ、次の世代の健康を守ることができるもっとも有効な方法が予防接種なのです。

(月刊母子保健第678号 平成27年10月1日)
(吉村 やすのり)

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