遺伝子検査の規制

 政府は、個人向け遺伝子検査ビジネスに法規制をかけることを検討しています。検査施設に認可制を導入し、設備や人員、作業手順が基準を満たさない場合は、検査を認めない方針にすることを考えています。遺伝子検査の結果をもとに採用や医療保険加入の可否を決めることも禁止することにしています。海外では、遺伝子検査で乳がんのリスクが高いとされた米女優が乳房を切除する例もあります。検査の結果は本人や家族の生活に重大な影響を与える可能性があります。このため政府は、最低限のル-ルを定める必要があると判断しています。こうした規制は、学会でのル-ル作りだけでは困難な場合が多いので、必要だと考えられます。
 遺伝子検査を手がける企業が参加する協議会は、自主的な認定制度を立ち上げることになりました。検査の品質や情報保護などで基準を満たす企業を認定することで、信頼性を高めるのが狙いです。検査する項目は①検査前の説明が適切か②解析結果の評価が科学的な根拠に基づいているのか③結果をみた人向けのカウンセリングや問い合わせ窓口を設けているのかなどとしています。ただ検査の中身は完全に企業任せなのが実態で、事業者によってリスクの高低に違いが出たり、科学的な根拠の乏しい評価があるなどの問題点が指摘されています。

(2015年10月17日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。