減少しない待機児童

 政府は子育て支援を重点政策の1つに掲げていますが、待機児童解消の目途がたっていません。各自治体とも対応を急いでいますが、保育定員は1年間で約14万人増加し、需要の高まりに追いつけていません。待機児童数は23167人となり、5年ぶりに増加しています。保育所急増のあおりを受ける形で、保育士育成の遅れが指摘されており、質の低下も懸念されています。
 新たな3本の矢の1つに、合計特殊出生率1.8を目指す子育て支援が盛り込まれています。そのためには単に待機児童を解消するだけでなく、安心して子どもを預けられる環境整備が欠かせません。保育士の負担を軽減し、教育システムを見直す時期が来ています。もともと保育士は出産などで離職する人が多く、運営母体が相次いで新設していることもあり、どうしても新人の割合が多くなってしまいます。そのため保育士が十分な教育を受けていないことも多く、人材確保と同時に人材育成が大切となっています。また重労働の割に賃金が低いとされ、平均月給は全産業を約9万円下回る、209800円前後です。待遇の改善も重要な課題です。

(2015年11月19日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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