非正規ミドル

 40歳前後の非正規労働者は、バブル経済崩壊後の就職氷河期に苦しみ、そのまま抜け出せない世代です。最近、契約社員や派遣社員など非正規の職から抜け出せない40歳前後の非正規ミドルが増えています。特に男性は正社員の仕事がない人が4割を超え、やむなく非正規を続ける人の割合が他の世代や女性の同世代を上回っています。所得も低く、未婚率も高く、孤独で貧しい老後を送る人が増えかねません。これ以上増やさないためには政策を大きく転換する必要があります。
 企業は人件費削減に終始し、政府は派遣労働の拡大など労働法制の緩和を進めてきました。こうしたなか、正社員に就けず、あるいはリストラで正社員の職を失うなどして、そのまま非正規を脱出できない人が増えてしまいました。正社員の厚生年金の加入率はほぼ100%ですが、非正規は半分程度です。厚生年金と国民年金では、受けとれる平均月額に3倍の差がつきます。非正規労働者をめぐっては、厚生労働省が正社員への転換や待遇改善を支援する包括的な計画を発表しましたが、主に若者向けであり、ミドル向けではありません。

(2016年2月4日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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