診療報酬の改定

 医療サービスの公定価格にあたる診療報酬が4月より改定されます。紹介状なしで大病院に行く患者から5000円以上の追加料金を取り、まずは地域のかかりつけ医に行くように促しています。患者が自宅で治療を受けられるよう、在宅医療に取り組む医師の報酬も増やします。このほか大病院で高度な治療を促すために、難しい手術の報酬も最大30%上げることにしています。
 紹介状を持たずに大病院に行く患者からは、初診で5000円以上、再診で2500円以上の追加料金を取ります。軽度な病気やけがで多くの人が大病院に行くと、必要な患者が高度な医療を受けられなくなるとの懸念があるからです。これは複数の医療機関に行くはしご受診の減少にもつながります。外出が難しい患者の自宅を訪れる在宅医療の報酬も増やします。特に集合住宅で複数の患者をみる医師の報酬を手厚くします。費用がかさむ入院をしなくても充実した医療を受けやすくなります。過剰な投薬を減らす取り組みの報酬も増やします。入院から退院までに患者が飲む薬の数を2種類以上減らした医師の報酬は、2500円上積みされます。1人の患者を継続的にみるかかりつけ薬剤師の報酬も増やします。特許切れの成分を使った安い後発薬品の使用に積極的な医師や薬剤師の報酬も増やします。
 今回の報酬改定で医療機関や薬局がこうした取り組みに積極的になれば、医療費の無駄が減り、長い目で見れば患者の窓口や保険料の負担を抑えられる可能性があります。

(2016年2月10日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)
 

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。