おたふくかぜの流行

 おたふくかぜは、ムンプスウィルスによっておこる流行性耳下腺炎です。このおたふくかぜが約4年半ぶりに全国的な流行の兆しが見られます。23週間の潜伏期間を経て、耳やあごの下が腫れ、発熱や痛みを伴います。このウィルスは感染力が比較的強く、症状は12週間で治まりますが、症状が表れない不顕性感染も約3割あり、本人が気づかないまま感染を広げる可能性もあります。近年は45年の周期で流行しており、冬から夏にかけて患者が増加する傾向があります。
 36歳が患者の約6割を占め、髄膜炎や脳膜炎などを併発したり、まれに難聴になったりするケースも報告されています。抗体のない大人も感染し、思春期以降で感染すると、睾丸炎や卵巣炎になる可能性もあります。成人になって感染すると、無精子症になったり、卵巣機能が低下し不妊症の原因になります。
 効果的な予防策はワクチン接種です。1歳からの任意接種です。数年後に2回目を受けることが必要となります。地域で流行している場合には、6ヶ月前後受けることもできます。ワクチン接種には、まれに無菌性髄膜炎が起こることもありますが、1歳以上であれば接種をおすすめします。

(2016年2月13日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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