吐く息と病気

 呼気には体内で起きる様々な反応によって生じる物質が含まれています。吐く息(呼気)に含まれる微量の物質を検出して、健康チェックに役立てる研究が進んでいます。糖尿病は膵臓の細胞が破壊され、インスリンが分泌できなくなるため、炭水化物に含まれるブドウ糖からエネルギーが取り出せません。体の脂肪に含まれる脂肪酸を代謝してエネルギーを得るが、このときにアセトンが生じ、血液によって肺に運ばれて呼気の中に出てきます。呼気中のアセトンの量を測るセンサーを開発し、潜在的な糖尿病患者を発見しようとしています。特に小児の糖尿病の早期発見を目的としています。
 呼気を調べてわかる病気は多いとされています。呼気中の水素やアセトンなど、12種類の物質に注目し、貧血や喘息などの病気との関係解明が進められています。慢性気管支炎の患者は呼気中の一酸化炭素が増える傾向にあります。硫酸化水素を調べれば、歯槽膿漏の治療がうまくいっているかどうかチェックできます。血液検査を保管する手段として、今後実用化が期待されています。

(2016年2月14日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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