福島県における甲状腺がん

 原発事故では、飛散した放射性ヨウ素を甲状腺に取り込むことで発症する子どものがんが懸念されています。社会に過剰の不安が広がった背景には、甲状腺がんが急増した旧ソ連のチェルノブイリ原発事故の影響があります。このため、福島県は18歳以下の38万人を対象に検診を実施しています。167人を甲状腺がん(疑いを含む)と診断しましたが、事故の影響は考えにくいとの見解を示しています。
 甲状腺がんの発症は、原発周辺の市町村で多いわけではありませんでした。地理的分布と放射線部質の汚染に有意な相関が認められないことが根拠の一つとしてあげられています。またチェルノブイリに比べて、甲状腺被曝量が平均5.1ミリシーベルトと4分の1以下に低いことも根拠としてあげられています。しかし38万人の検診で、167人の甲状腺がんが発見されています。今後も長期のフォロー体制が必要なことは言うまでもないことです。
 

(2016年2月28日 産経新聞)
(吉村 やすのり)

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