福島の子ども

 東京電力福島第一原発事故で、福島県から県外に避難を続けている18歳未満の子どもは約1万人以上に達しています。東日本大震災から5年経過しましたが、避難した子育て世代に、原発事故による環境への不安が根強くあると思われます。このうち、事故後に避難区域に指定された沿岸部の12市町村の避難している子どもは4760人にも及び、半数近くを占めています。県内への避難も含めると、約22千人の子どもが避難生活を続けています。これら以外にも、既に避難先に住民票を移したケースがあるとみられ、実際の子どもの転出はさらに多いと思われます。
 帰還が進まない背景には、避難先への定着に加えて根強い放射線への不安があるとみられます。基本的に子どもは親と共に世帯として避難しています。県内に子どもに戻ってきてもらうためには、子育て環境など基盤を整備することが必要です。福島県は、子どもを安心して生み育てられる環境づくりとして、12年秋から18歳以下の医療費無料化を実施しています。自主避難者が県内へ戻る際の引っ越し代金を補助するなど、金銭面でも支援し受け入れ態勢を取っています。

(2016年3月4日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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