子どものうつ病

 日本うつ病学会が改訂したうつ病治療ガイドラインに、初めて児童思春期のうつ病が盛り込まれました。一般にうつ病の診断や治療は難しいのですが、子どものうつ病はさらに難しいものがあります。抑うつ気分または興味や喜びの著しい減退があり、不眠や過眠などの特徴的な症状がほとんど一日中みられ、それが2週間以上続く状態としています。しかし、大人との違いとして、抑うつ気分のかわりに怒りやすくなる場合や、体重減少のかわりに期待される体重増加がない場合もあるとしています。
 診断では、ほかの病気や薬の影響がなく、生活に支障があるかを確認します。正しい診療のためには、本人や家族から十分に話を聞き、成育歴や家庭・学校での状況を医師が把握することが重要です。本人や家族にうつ病の説明を丁寧にし、頑張り過ぎず、ゆっくり休むことが必要です。現時点では、国内での臨床研究で安全性や有効性が示された子ども用の抗うつ薬はないことを理解しなければなりません。そのことを本人や家族に説明し、効果とリスクを検討したうえで同意を得て使い、少量から始めることが大切です。

(2016年11月23日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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