HTLV-1とは

 HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス-I型)は、血液中の白血球のひとつであるリンパ球に感染するウイルスです。HTLV-1によって成人T細胞白血病(Adult T-cell leukemia, ATL)が引き起こされることが明らかになっています。感染しても自覚症状はないが、治療薬は無く、一度感染するとウイルスを体内から排除することは困難です。生涯を通して感染者の約5%が、成人T細胞白血病を発症すると言われています。HTLV-1感染は、母子感染が6割上、性行為感染が約2割と考えられています。現在は献血時の検査で感染がわかるため、輸血による感染はありません。
 妊婦健診で新たに感染が分かる女性は、年間約2千人と推計されています。生後2、3ヵ月までなら母乳を与えても感染させるリスクは低く、粉ミルクを使えば母乳による感染は基本的に防げます。近年、問題となっているのが性行為による感染です。キャリア―の男性の精液に含まれたウイルスが女性に感染します。コンドームを使えば予防できますが、妊娠を望むカップルにとっては難しい問題です。成年期以降の陽転は、ほとんどが性行為感染と考えられます。母子感染の対策は進められていますが、性行為感染の対策はほとんど取られていないのが現状です。

(2016年11月25日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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