女性研究者の生き方

わが国における女性研究者の比率は14%前後であり、欧米に比較して半分以下で極めて低い。そんな中で小保方氏のSTAP細胞の歴史に残る大発見があり、ワイドショーも連日取り上げ、国民の最大の関心事となった。ようやく女性研究者の活躍が目に見える形で出たとのことで、理系女子がにわかに脚光を浴びることになった。報道で先端科学の内容を伝えることは難しく、どうしても科学者の人となりを紹介することになってしまう。小保方氏の写真が大きく何枚も掲載され、かっぽう着姿で研究しているところまで報道された。若い女性が、科学の世界にいて素晴らしい研究成果を出したことを意外に感じるという社会の文化が、わが国にはあるように思える。

STAP細胞の研究不正を検証した外部の有識者でつくる改革委員会は、理化学研究所における小保方氏採用の信じ難い杜撰さを指摘している。人事の焦点がSTAP細胞という大発見の可能性があったために、その後の論文のチェックの甘さなどには、女性であることも影響したことは否定できないようである。審査なしで採用するのは、女性を侮辱しているとも言える。つまりは、女性を対等に扱わない日本の文化が、今回一連の採用経過に現れたと思われる。逆説的に言えば、小保方氏はこのような男性社会に上手く取り入り、それを判断できない男性研究者が欺かれたのかもしれない。研究の世界も男性のみではもはや限界にきていることを露呈している事件かもしれない。

(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。