わが国のシングルマザーの実態

日本のシングルマザーの就業率は80.6%と極めて高いが、父子家庭では正規職員が67.2%を占めるのに対し、非正規の割合が47.4%と高い。そのため女性の場合賃金が低く、働いているのに貧困というケースが多い。日本の母子家庭の貧困度合いが突出しているのは、稼ぎ手は男性、子育て家事は女性、女性は働いても家計の補助という、わが国の社会や企業意識が根強い。それにより女性労働者が低賃金労働に置かれていることが大きい。母子家庭の貧困は、離婚後に養育費を払わない父親の割合が多く、母子世帯の総所得は243万と、OCED の中でも貧困率は最も高い。

シングルマザー世帯の貧困は、子どもに対する教育支出の制約に繋がり、子どもたちに連鎖する。解決策は、男女間格差、正規・非正規間の雇用格差を解消することにある。またシングルマザー世帯への財政支援を手厚くすることも大切である。安倍政権の女性活用の数々の政策から、母子家庭の支援が取り残されるようなことがあってはならない。さらにシングルマザーの存在に対する社会、世間の意識の醸成が必要となる。

(2014年7月26日朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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