ヒトの寿命

生殖年齢が超えたにも拘わらず、生きられる哺乳動物はヒトのみであると考えて良い。生物の生きることの使命は、つきつめれば生殖により次世代を作ることにある。ヒト以外の生物が次世代に自己を伝えることは、受精によって自らのゲノムを残すことと、次世代の出生後の配偶子のみでみられる刷り込み現象以外にはない。つまり生殖年齢を過ぎた動物は、生きていくという使命を終えたことになる。つまり、野生の哺乳動物の寿命は、生殖可能な年齢と一致している。しかし、ヒトとともに生きるペット動物は、生殖年齢を終えてもヒトに守られているがゆえに生きながらえることができる。

これまでヒトは、社会における文明文化の醸成、健康の管理、病気の治療や予防などによって、自らの寿命を延長させてきた。生殖年齢を越えて生きながらえるヒトは、その時期に次世代に対し何を残すことができるのかを、自らが模索することが大切である。それがヒトたる所以である。それをしなければ生命を生きながらえる必要はない。

生殖年齢を過ぎた後も非常に長い期間生きることが、どのような利点を持っていたかを説明する“おばあちゃん仮説”がある。

(吉村 やすのり)

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