医療費抑制政策

政府は、医療費など社会保障給付の伸びを抑える政策に現在着手している。医療費は入院費などを中心に膨らみ、わが国の財政を圧迫している。財政の健全化には社会保障費の見直しは不可欠で、医療費の都道府県ごとの支出の目標導入で歳出抑制効果を図る。医療費には、都道府県によって地域により大きな差がある。75歳以上の高齢者医療で、医療費が最も多い県は福岡県で、最も少ない岩手県の1.6倍である。その医療費の半分を占めるのが入院費であるため、入院費の見直しが必要となる。

75歳以上の国民一人あたりの入院費は、高知県で最も多く、最も少ない千葉県の2.1倍である。この入院費の高騰は、ベッド数が過剰であったり、入院日数が不必要に長かったりすることに起因する。わが国の病床数は、人口1,000人あたり14床前後であり、欧米の2~4倍である。都道府県ごとに医療費の目標の算定にあたって、診療報酬明細書(レセプト)の分析や後発医療薬品の使用状況などをチェックし、人口や年齢構成などの要素も加味し、適正な医療水準を算定する。聖域といわれた医療費に対してメスが入れられることは、止むを得ない状況にあり、医療の適正化にとっても必要なことである。

(2014年8月12日日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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