若年性子宮頸がんの発症-Ⅰ

子宮頸がんはヒトパピローマウィルスの感染によっておこることが知られている。20代~30代に発症する女性のがんのうちで最も頻度の高いのが子宮頸がんである。しかも、2000年以降、20代や30代の女性の子宮頸がんに罹患する頻度が上昇してきている。これは全世界に見られる傾向であり、その発症予防のために子宮頸がんワクチンが開発されている。わが国においても、昨年4月から公的助成により子宮頸がんワクチン接種が実施されるようになった。しかしながら、疼痛やさまざまな神経障害などの副反応の出現のため、現在は勧奨されておらず、現実的にはほとんど実施されていない。

20代や30代の性成熟期にある女性にとって、子宮頸がんに罹患することは子宮摘出しなければならないこともあり、妊孕能を維持するために重大な問題を投げかける。子宮頸がんワクチンを接種すれば、安全に予防できるわけではないが、性交渉をもつ前の若い時期に接種すれば、約7割の女性で子宮頸がんの罹患が予防できることがわかっている。一日も早い接種の再開が望まれる。そして若い女性における子宮頸がんの発症頻度の上昇をみれば、20代になれば子宮頸がんの検診を受けるべきであることを教育啓発しなければならない。

(吉村 やすのり)

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