マタニティ・ハラスメント(マタハラ)

安倍政権が掲げる「女性が輝く社会」をすすめるための新法の成立をめざす状況下においても、マタハラが絶えない。男女雇用均等法では、妊娠中の女性に対し、企業は時短勤務や時差通勤などで配慮しなければならない。また妊娠を理由にした解雇や契約の打ち切り、降格などの不利益な取り扱いも禁じられている。妊娠を理由に不当に降格させられたとして、職場に降格処分の取り消しを求めた裁判の下級審では、女性の訴えが退けられているが、最高裁では見直される公算が強い。

 マタハラには2種類ある。企業や組織によるものと、上司など個人によるものがある。妊娠2~3か月の頃は、つわりが酷くて体調不良で自宅安静が必要であったり、切迫流産で入院を余儀なくされたりすることも多い。妊娠の経過には個人差があることを、社会のみならず男性が理解を示さなければならない。妊娠は病気ではないと決めつけるのは男性の一方的な言葉による暴力であり、厳に慎まなければならない。すべての女性が心健やかに妊娠・出産でき、子育てをしながら職場復帰ができる体制を、企業は準備しなければならない。

(2014年10月3日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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