非侵襲的出生前遺伝子学的検査

NIPTコンソーシアムにおいては、日本医学会内の「母体血を用いた出生前遺伝学的検査」施設認定・登録部会の許可を受けて、全国15施設で2013年4月より臨床研究が始まった。施設数は次第に増加し、2014年3月現在37施設に及んでいる。NIPTコンソーシアムの研究責任者である左合治彦氏の報告によれば、2013年4月から2014年3月までの1年間の検査総数は、7,740件であった。検査理由は高年妊娠が95.4%と最も多く、次いで染色体疾患時児の出産既往2.9%であった。

最終的には98.1%が陰性であり、陽性は142例(1.8%)であった(表)。その内訳は21トリソミー 79例(1.0%)、18トリソミー 50例(0.7%)、13トリソミー 13例(0.2%)であった。陽性142例のうち、13例(9.2%)はNIPT検査結果を告知する前に子宮内胎児死亡となった。NIPT検査が陽性で、羊水検査または絨毛検査による確定診断で行った126例のうち、13例は正常核型であり、疑陽性率は9.2%であった。疑陽性であった症例の内訳は、21トリソミー 3例(4.1%)、18トリソミー 8例(19.0%)、13トリソミー 2例(18.2%)であった。

 遺伝カウンセリングにおける説明内容の理解度は高かったが、倫理的な側面、ダウン症の特徴や成長、染色体異常症についての理解が相対的に劣っていると考えられたとのことである。また陽性時の羊水検査の必要性について理解度はきわめて高かったが、陽性142例のうち3例(2.1%)は諸種の事情により羊水検査などによる確定診断を拒否したとのことであり、これらは臨床研究脱落例として取り扱われている。

(吉村 やすのり)

 

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