原発事故後の甲状腺がん発症

東京の福島第一原発事故に伴う住民への健康対策を提言する環境省の専門会議が中間とりまとめを報告した。この専門家会議は、原発事故子ども・被災者支援法に基づき、201311月に設置されている。それによれば、福島県民の被曝線量はチェルノブイリ原発事故と比べはるかに小さく、甲状腺がん以外のがんの増加は予想されないとの見解を示した。甲状腺がんは一部の子どもでリスクが若干増加する可能性があるとし、引き続き甲状腺検査を実施して見守る必要があるとしている。

 チェルノブイリ原発事故においても、内部被曝に伴う若年者の甲状腺がんの増加が指摘されている。甲状腺検査においてがんではないのに偽陽性と判定され、再検査を余儀なくされるなどの不利益を指摘する声がある。また見つかった甲状腺がんの治療が保険診療であり、自己負担が生ずることなどの問題点も指摘されている。しかし、こうした大規模な検査は世界においても前例がなく、正確なデータの集積が望まれる。

(2014年10月19日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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