子宮頸がんワクチンの副反応について

先日の関東連合産婦人科学会で、信州大学医学部の池田修一教授から、子宮頸がんワクチン接種後の四肢の慢性疼痛の実態調査の結果が報告された。ワクチン成分の因果関係を含めて発症機序は不明であるが、末梢性の交感神経障害が、高度な起立性調節障害様の症状である頭痛、全身倦怠感や四肢の慢性疼痛の主な原因であると考えられた。実際に手指の皮内神経において神経線維の減少と変性像がみられている。

 本年1月に開催された厚労省の専門委員会は、「子宮頸がんワクチン接種後の重篤な副反応を呈している患者には器質的病変はなく、すべて機能的異常である。またその病像は心理的、社会的要因が影響した身体症状である」という見解を発表しているが、全く異なる見解が示されている。こうした知見もあることから、ワクチン接種後の副反応は、頻度からみてわが国にみられる特徴的な所見であるものの、今後科学的な解析も進めていかなければならないであろう。

(吉村 やすのり)

 

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