残業はどうして減少しないか

欧米においては1日ごとに休息時間が規定されています。しかし日本では、チームで作業をすることが多く、一人が早く帰ったり休んだりしにくい状況があります。こうした職場で同僚から受ける影響をピア効果と呼び、いわゆる付き合い残業に繋がります。長時間労働がやる気や忠誠心を示すシグナルとなり、必要以上に残業することに繋がることもあります。また残業時間により収入が増加するため、自ら好んで残業していることもあります。しかし、日本の場合、残業代が支払われていないサービス残業が多いことも指摘されています。さらに企業者側にとっても、仕事量が増えた時も新たに人を雇うのではなく、1人あたりの労働時間を延ばして対応した方がコストが安いことになり、都合がよいとも考えられます。

 こうした残業時間を減らすためには、マネジメント層の評価項目に売上達成率だけではなく、労働時間の削減率も入れることがまず必要となります。また業績に結びつかないような労働時間を洗い出すことも大切です。さらには残業が少ない生産性の高い社員を表彰することなども考えなければならないでしょう。残業や長時間労働をなくさなければ、結婚や出産を経験した後も、仕事を続けることはできません。強制的に社員を早く帰すことも大切ですし、労働時間の長さと賃金のリンクを切り離す必要があると思います。

(2014年12月2日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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