産婦人科が抱えている課題

 日本産科婦人科学会は、現在のわが国の周産期医療を維持するために、新規産婦人科専攻医年間500名を目標とし、新規専攻医増加のために努力を続けてきた。2010年には491名まで順調に増加したが達したが、その後目標に到達せず、過去4年間については、年間30名前後減少し、この傾向は止まりそうにない。このままの状況が続けば、2008年頃に経験した周産期の危機的状況が再び起こることが予想される。また新規産婦人科専攻医数は、都道府県間の格差が非常に大きく、過去6年間の人口あたり新規専攻医数が特に少ない岩手、福島、茨城、埼玉、新潟、岐阜、和歌山、山口、香川、愛媛、熊本、大分の各県では、緊急かつ抜本的な対応が必要と考えられる。

 わが国の産婦人科医療再建のために行政と地域の産婦人科医は、密接な協力に基づいて断固たる決意で以下の施策を推進することが望まれる。

・都道府県は、地域枠・診療科枠の活用を含め、産婦人科新規専攻医の増加のための施策を緊急に実施すること

・都道府県は、地域で産婦人科医を養成し、技術習得を支援し、専門性向上の機会を提供することのできる体制を緊急に整備し、地域格差の改善に努めること

・地域の基幹分娩取扱病院は、重点化・大規模化を迅速に推進し、勤務医の当直回数の削減、当直明け勤務緩和、交代制勤務導入等の勤務条件の改善が可能な体制とすること

(吉村 やすのり)

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