医学教育の国際基準

 日本の医学部教育は、国際的な基準に合わせる改革が迫られています。8年後までに基準を満たすことができない場合、海外で医師が働きにくくなるだけでなく、日本の医療が評価されなくなる恐れも出てきます。米国の医師国家試験を米国以外の医学部卒業生が受ける際、資格審査において、2023年以降は国際的な認証評価を受けた医学部の出身者以外は認めないとの方針が出されました。日本国内で医師として働く分には問題ありませんが、日本の医学教育が国際基準を満たしていないと、日本の医師は海外で活躍しにくくなります。

 世界医学教育連盟(WFME)が策定した国際基準に沿った見直しが必要となります。日本の医学部教育は座学が多かったが、WFMEの基準は臨床実習制度が充実しています。これまでわが国では50週だった臨床実習を72週に増やすことが求められています。また、内容も受け身型ではなく、参加型に変化することになります。これまで多くの大学医学部では、6年目のほとんどが国家試験のための準備にあてられています。大学によっては1年間座学による受験勉強にあてているところもあります。こうした医学部教育の改革は評価されるべきです。

(2015年1月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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