2030とは

 安倍内閣は、あの手この手で働く女性を後押ししています。保育所を増やしたり、残業や転勤がないタイプの正社員制度の枠を広げています。政府は国民の意識を変えようと、2020年に管理職の30%を女性にする目標、いわゆる2030を掲げています。13年の実績は、わずか7.5%に過ぎません。女性の採用や昇進を増やすよう企業に呼びかけ、欧州諸国並みに引き上げることを目指しています。
 なぜ国が働く女性を増やそうとしているのでしょうか。最大の理由は日本の人口が減り続けることで、経済を引っ張る労働者が少なくなってしまうからです。働く意欲のある人は現在66000万人ですが、このままだと2030年には900万人も減ることになります。今よりも多くの女性が働くようになれば、働き手の目減りを補うことができるからです。戦後から高度成長期の日本の会社では、女性は結婚したら退職するのが当たり前という風潮がありました。男性と同等の戦力とはみなされず、女性だけ定年を30歳にする会社も珍しくありませんでした。雇用での男女差別を禁じる男女雇用機会均等法ができて、今年で30年が経過し、企業も男性社員の認識も大きくかわりつつあります。

(2015年4月23日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。