職場のうつ対策

 職場の人間関係の悩みや過重労働などにより、うつ病など精神障害に陥る人数が増加し、年100万人にも達しています。仕事を休むまでになると、家庭にも職場にも大きな影響を与えることになります。国は労働安全衛生法を改正して、中堅以上の企業に「ストレスチェック」を義務付けています。定期チェックを12月から義務化するのは規模50人以上の事務所で、50人未満は努力義務にとどまります。従業員個人に受診義務はなく、本人の同意がなければ、結果は事業主に通知しないことになっています。厚生労働省は、質問に原因、症状、サポ-トの3分野を含めるよう指導し、簡易調査票を用意しています。
 ストレスによるうつ病の対策としては、①啓発セミナ-など事前予防策②うつ病の早期発見による重症化防止策③休職後、円滑な復帰を目指す事後対策が考えられます。セミナ-に参加することで、参加者は自分が感じているストレスの種類やストレス耐性を知ることができるようになります。ケ-ススタディやグル-プ討論によるセミナ-を体験することもできます。②の早期発見と③の事後対応に力を入れて、うつ病による休業を大幅に減らした企業もあります。このように、うつ病対策の成否は、ストレスチェックの結果をどう活用するかにかかっています。法的には従業員はチェックを拒否できるものの、進んでチェックを受け、相談をためらわないことが大切になります。

(2015年4月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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