生涯未婚率

 50歳まで結婚しない人の割合を示す生涯未婚率は、1980年には男女とも5%未満でしたが、2010年には男性が20%、女性が10%を超えています。家族が増えれば、規模の利益という利点があります。世帯人数が増えるほど1人あたりの消費支出が減り、2人世帯では単身の8割、3人では6割弱に収まります。このように、結婚は暮らしを豊かにする側面もあります。しかし、経済が発展すると若い男女は未婚を選びがちです。
 豊かになると、結婚相手への要求水準が上がります。女性が結婚相手に求める年収と実際の男性の年収に大きな差があります。30歳未婚女性の65%が、結婚相手の年収は400万以上を希望しています。しかし、30歳未婚男性で年収400万円以上は、26%にとどまっています。女性にとって、本来得られたはずの収入を結婚・出産によって失う“機会費用”が大きいためです。失うものの大きさに値する男性でなければ、女性が結婚したくないのはあたりまえかもしれません。結婚したくない理由は、行動や生き方が制限される、必要性を感じない、自由さ・気楽さを失いたくないなどです。結婚したい人のは多いのですが、価値観が多様化し、結婚の意味や必要性を考えるようになってきており、結果的に生涯未婚率が増えているように思います。

(2015年5月5日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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