iPS細胞によるパ-キンソン病の治療

  パ-キンソン病とは、手足のふるえや筋肉のこわばりが進み、体が動かせなくなる難病です。国内に患者は約15万人いると考えられています。神経の中で情報を伝えるド-パミンを作る神経細胞が、脳の組織で減ることによって起こり、神経細胞の減少を止める根本的な治療法はありません。京都大iPS細胞研究所のグル-プが、iPS細胞から作った神経細胞を人間の脳に初めて移植し、パーキンソン病の治療を目指す臨床研究を来年にも始めることになっています。海外では死亡した胎児の神経細胞を患者の脳に移植する研究が試みられましたが、有効性は十分に確認されていません。
患者自身の細胞からiPS細胞を作り、ド-パミンを作る神経細胞に変えてから、針を使って患者の脳の中央部に高い精度で注入します。移植に使う神経細胞を作る過程では、不必要な細胞も混じることがあるため、大量の細胞の中から必要な神経細胞を選び取る技術を開発しています。これまで動物に移植して、安全性や効果が確認されています。iPS細胞が目的の細胞に変化しないまま体内に入ると、無秩序に増え、がん化するなどの危険があるため、人に応用するには安全性の検証が大切です。

(2015年5月16日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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