健康寿命の延長

 健康寿命とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間を示します。政府は自立した生活を続けられる健康寿命を延ばす取り組みに力を入れています。平均寿命は、治療技術の向上や健康診断の普及によって伸びてきたものの、それによって、介護などに頼るケ-スも増えてきました。骨折や転倒を予防することにより、効果が出る一方で、健康寿命の延長には、個人の生活習慣やこころの問題なども大いに関与します。これまでは病気になった患者の治療や健康診断による早期発見に力を入れてきたため、健康寿命も過去12年間で男女とも1.5歳以上延びてきました。その理由として、禁煙や適正体重の維持、適切な食事、健診受診による早期発見・治療などが上げられます。
 平均寿命の延長したことにより、介護や医療費も膨らんできています。政府は平均寿命の増加を上回る健康寿命の増加という目標を掲げ、20年までに健康寿命を1歳延ばすとしています。健康寿命を延ばすには、医師だけでなく住民自らの取組も欠かせません。高齢者にとってこころの健康も大切です。80歳を超えると、認知や運動の機能は下がるものの、幸福感が増す人の割合が高くなります。体が不自由でも人生の充実感は増します。健康寿命の延長には心の問題も考えるべきです。

(2015年5月17日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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