薬剤の過剰投与

 大きな病院の目の前には薬局が立ち並んでおり、門前薬局と呼ばれています。厚労省は、医師の処方箋をチェックして、過剰な投与や飲み合わせを防ぐ役割を薬局に期待しています。門前薬局のなかにはこうした取り組みをおろそかにして、処方箋に基づいて機械的に薬を出しているところも多いのが現状です。厚労省はこれまでも、医療サ-ビスの公定価格にあたる診療報酬の見直しで、門前薬局が受け取る収入を段階的に下げてきています。
 一方、複数の病院の処方箋をまとめて扱う「かかりつけ薬局」は、16年度以降段階的に収入を積み増しています。具体的には、24時間の対応、患者の自宅への訪問、飲み残し薬や飲み合わせの確認、安価な後発薬への切り替えなどに取り組む薬局の収入を増やすことにしています。以前は医師が自ら薬を出すことが多く、このことが過剰な投与につながりやすいとして、厚労省は調剤業務を外部の薬局に任せるように促してきています。しかし、薬局におけるチェック機能が十分に働いておらず、医師による薬の過剰投与が続いている現状です。かかり薬局の普及を強く進めることで、医療費の抑制につなげることが目的です。

(2015年5月22日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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