所得格差の拡大

 経済協力機構(OECD)は、2013年の加盟国34カ国の所得格差に関する報告書を発表しています。人口上位10%の富裕層と、下位10%の貧困層の所得を比べると、OECDでは9.6倍に格差が広がり、大半の国では格差は過去30年で最大になっています。報告書によれば、所得格差は1980年代には7倍程度でしたが、90年代には8倍程度、2000年代には9倍程度に拡大しています。13年の国別では、メキシコ(30.5倍)が最大で、米国(18.8倍)、イスラエル(14.9倍)の順です。日本は、10.7倍で大きい国のトップ10に入ることになります。
 OECDは背景として、所得や職業上の訓練機会などに恵まれていない非正規雇用などが増えていることを挙げています。9513年にかけて加盟国で生み出された雇用の半分以上が非正規雇用や自営業で、30歳以下では約4割を占めています。さらに、女性の社会進出が進んでいますが、所得は男性より15%ほど少ないことも格差の要因だと指摘しています。OECDは、格差拡大が長期の経済成長を防げているとして、加盟国の政府に対し、雇用における男女平等、雇用機会の拡大、教育や技能の取得への投資拡大などへの取り組みを呼びかけています。

(2015年5月22日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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